コラム|BtoBマーケティング

リードの層別で変える営業の優先順位

法人向け教育サービス企業のデータをもとに、リードの価値と検討時期を分け、営業の優先順位と引き渡し方を考える。

執筆:三浦慶介(株式会社グロースドライバー 代表取締役)

リードを同じ一件として扱わない

展示会やセミナーで見込み顧客の情報が集まると、まずは全件に電話をかける。商談になれば営業へ渡し、ならなければ次のリストへ進む。活動量は管理しやすいですが、それで大事な顧客に時間を使えているでしょうか。

リードの層別とは、自社が提供できる価値や受注の見込みに応じて、見込み顧客を分けることです。ここでは、どれだけ狙いたい相手かという「層」と、いつ検討するかという「時期」を分けて考えます。

狙いに合う相手でも、今すぐ買うとは限りません。逆に、すぐ話を聞いてくれる相手が、自社にとって重要な顧客とも限らない。この二つを混ぜると、電話がつながりやすい相手ばかりを追い、将来の受注につながる接点を放置しやすくなります。

実践データから見るリードの違い

有効な層の中にも差がある

私が展示会のセミナーで取り上げた法人向け教育サービス企業のデータでは、狙った層のリード一件から見込める売上は、それ以外の有効な層の約6倍でした。対象外のリードとは20倍以上の差がありました。

ここで見ているのは、リードを獲得した時点で売上が発生したという話ではありません。商談になる割合、その後の成約率、顧客との取引を通じて得られる売上を踏まえた期待値の違いです。売上を増やした倍率でも、施策によって改善した倍率でもありません。

注目したいのは、有効なリード同士でも違いがあることです。対象外を除くだけでは、まだ粗い。どちらも営業対象になるとしても、限られた時間を同じように配るのがよいとは限りません。

リード件数だけを見ていると、この差は消えてしまいます。獲得単価が低くても、受注につながりにくければ、営業が使う時間まで含めた採算は変わります。マーケティングの数字だけで獲得の良し悪しを決めず、その先の商談と受注までつないで見る必要があります。

すぐ商談にならない相手を切らない

同じ企業の接点別のデータでは、展示会で接点を持ち、ウェビナーを経て商談化した層の成約率は約20%でした。ウェビナーが最初の接点だった層は約9%です。

ただし、この比較だけで「ウェビナーを挟めば成約率が上がる」とは言えません。もともとの顧客の条件や検討状況などが異なる可能性があるためです。待つこと自体の成果とも言い切れません。

それでも、最初の接点だけで結論を出してよいのか、考える材料になります。最初は情報を集めていた相手が、その後の接点で検討を進め、商談に至ることがある。初回でアポイントが取れなかったという理由だけで、対象から外すのは早いのです。

このデータは、企業に蓄積された接点と成約の記録です。私一人の営業成果や、AIによる改善実績を示すものではありません。ここから考えるべきなのは、誰と接点を続けるかという運用です。

層と検討時期で接し方を変える

優先したい層が見えても、全員に同じ商談打診をしてしまえば、分類した意味がありません。相手の検討時期と、いま必要としている情報まで見て、次の行動を変えます。

具体的に導入を検討している相手には、早く連絡し、相談に応じられる営業へ渡します。課題はあるものの時期が先なら、課題に合うセミナーや資料を案内し、次に話すきっかけを残します。時期が分からないなら、まず確かめる。未確認と見込みなしは別です。

ここで避けたいのは、すぐにアポイントが取れない相手を、単に一斉配信のリストへ戻して終わることです。何に関心があり、何が決まれば検討が進み、いつ確かめ直すのか。担当者が交代しても分かるように残しておきます。

たとえば「導入時期は未定」だけでは、次の担当者はまた同じ質問から始めることになります。「社内で課題を整理している」「比較のための情報が必要」といった状況が分かれば、渡す情報を選べます。これは運用の例であり、先ほどの企業で実施した内容を述べているわけではありません。

接点を続けることと、連絡回数を増やすことも違います。相手が求めていない商談打診を繰り返すより、検討を進める材料を渡す。そのために、連絡の希望や断りも記録し、対応に反映します。

見つけ方と進め方

受注までたどれる単位で集計する

最初に、リードの獲得経路と、商談、受注、その後の取引をつなぎます。集計する期間や、どの段階を商談と数えるかもそろえます。獲得したばかりのリードと、十分に検討期間が経過したリードを同じ条件で比べないようにします。

有効な条件と優先する条件を分ける

業種、部門、従業員規模などで、自社の提供価値が合う範囲を決めます。そのうえで、商談化や成約、その後の取引に違いがあるかを確認します。分類は細かいほどよいわけではありません。現場が判定でき、次の対応が変わる区切りから始めます。

営業へ渡す条件をそろえる

マーケティング、インサイドセールス、営業で、同じリードを見ながら判断を合わせます。対象条件だけでなく、相手の課題、検討時期、次の面談で確認することを共有します。渡した件数に加え、営業が受け取ったあとにどう進んだかも振り返ります。

商談にしない場合の次の行動も決める

今すぐ営業へ渡さない相手についても、担当者、次の接点、再確認する時期を決めます。「保留」は状態であって、行動ではない。リストに残っているだけで、誰も見ていない状態をつくらないことです。

件数と受注へのつながりを一緒に見る

層ごとの有効商談数を見ながら、時間を置いて成約と取引の結果も確認します。分類した当初の期待と実際の結果が違えば、条件を見直します。分類を一度決めて固定するのではなく、対応を変えたあとも検証していきます。

よくある間違い

一つは、優先順位をつけることを「優先度の低い相手は全部捨てること」と考えることです。手厚く対応する層を決めつつ、ほかの有効な層には別の接し方を用意します。すべてを同じ方法で追わないための分類です。

もう一つは、点数だけを見て営業へ渡すことです。資料を読んだりセミナーに参加したりしていても、導入を検討しているとは限りません。行動の記録は確認のきっかけに使い、相手の状況を聞く工程を省かないようにします。

そして、マーケティングは獲得数、インサイドセールスはアポイント数、営業は受注だけを見て、それぞれの達成で終わることです。どの層を取り、どう接点を続け、どんな状態で営業へ渡すのか。この判断がつながっていなければ、現場は別々の方向に頑張ることになります。

次のリード獲得施策を増やす前に、今あるリストを見てみてください。すぐ連絡すべき相手と、時間をかけて向き合う相手を、同じ理由で分けられているでしょうか。まずはそこを、部門をまたいでそろえるところからです。

この記事を書いた人

三浦慶介

三浦慶介代表取締役

事業会社で執行役員・責任者として、営業・マーケティング・新規事業の成果を出してきた。

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