経営課題から探す
人を増やさずに売上を伸ばしたい
人を増やす前に、良い顧客を定義し直す。データで顧客の理解を改め、大事な顧客に力を集めれば、同じ人数で数字は上がる。
こんな状態の会社に
会社の規模は問いません。社員100名ほどの会社から数千名の会社まで、支援の実績があります。大事なのは規模ではなく、変えようとする意志です。
次のどれかに心当たりがあれば、対象です。
- 自社にとっての良い顧客を、言葉で定義できていない
- 顧客の理解が十分でないと感じている
- 人を採っても、一人あたりの売上が下がっていく
- 商談数を増やせと言っても、現場はもう手一杯
- AIを入れたが、作業が少し速くなっただけで、売上は変わらない
どれも、顧客の違いを見ないまま、人や時間の量で売上を伸ばそうとしている状態です。
量を増やしても売上が伸びない理由
人を増やさずに売上を伸ばそうとすると、まず次の3つが思い浮かびます。
- 採用を増やす:採れても戦力になるまでに時間がかかり、教える側の時間も削られる
- 商談数や行動量を増やす:1件ごとの準備と見極めの時間が減り、成約率と単価が下がる
- AIツールを全員に配る:作業は速くなるが、誰に何を売るかが変わらなければ売上は変わらない
3つに共通するのは、すべての顧客に同じ力をかけたまま、量だけを増やそうとしていることです。
売上の多くは、限られた顧客がつくっています。取引が長く続き、単価が高く、かけた手間に見合う売上を返してくれる顧客です。私はこれを「良い顧客」と呼んでいます。反対に、手間をかけても売上に結びつかない顧客もいます。この2つを分けないまま量を増やすと、売上に結びつかない顧客にも同じだけ時間を使うことになります。
良い顧客を定義すれば、数字は上がる
順番は2つだけです。
- 良い顧客を、データで定義し直す:思い描いている顧客像ではなく、受注や購買のデータから、売上を支えている顧客を確かめる
- 大事な顧客に、力を集める:営業の時間、提案の中身、販促の予算を、良い顧客に寄せる
力の集め方は一つではありません。営業管理を変えても、売り方を変えても、店とネットをつなぐ販促でもかまいません。先に決めるのは手法ではなく、誰に力を集めるかです。
実際にやったこと
営業管理の刷新:良い顧客に営業の時間を集めた
私が執行役員として営業改革を担った上場の建設テックSaaS企業では、組織が「とにかく商談数」を追っていました。商談数は足りているのに成約率が足りず、未達が続いていました。
まず、使われていなかったSFA(営業支援システム)を2か月で入れ替え、成約率を正しく測れるようにしました。そのうえで、顧客を企業規模ごとに「今の売上」「これから取れる売上」「成約しやすさ」で分け、営業の人員配置を変えています。
追う指標も、「商談数」から「良い顧客への提案の量」に変えました。新規営業・既存営業・カスタマーサクセスの指標を一本につなぎ、評価も売上だけでなく、この行動の達成を見る形にしました。
人を増やしたのではなく、同じ人数の時間を良い顧客に集めた結果が、営業生産性の伸びです。経緯はコラム『成長ドライバーとは』に詳しく書きました。
販売戦略の刷新:良い顧客が求めるものを売った
同じ企業で営業に同行して分かったのは、どこにでもある機能ばかりを提案していたことでした。一方で、他社にない機能を強く支持している顧客が一定数いました。この顧客こそが、この事業の良い顧客でした。
そこで、単品の提案をやめ、他社にない機能をまとめたパッケージの提案に切り替えました。現場からは「そんな金額では売れない」という声もありましたが、成約率は下がらず、新規の受注単価が上がっています。
マーケティング構造の変革:主要顧客に販促を集めた
大手商業施設でマーケティングの改革を主導したときは、施設が「服を買い、食事をし、雑貨も買って帰る」顧客を思い描き、館内の買い回りを促していました。
会員の購買データを機械学習で分けてみると、まんべんなく買い回る顧客はほとんどいませんでした。売上を支えていたのは、限られた主要顧客の群です。そこで、主要顧客を定義し、離脱の兆しを捉えて引き止める施策に力を集めました。経緯はコラム『顧客分析で年10億円超の利益』に書きました。
3つの例で使った手法は、営業管理、販売戦略、マーケティングとばらばらです。共通するのは、先に良い顧客を定義し、そこに力を集めたことです。
AIを使う場面と、使わない場面
AIを使うのは、良い顧客の候補を見つける作業と、力を集めた後の実行です。
- 受注や購買のデータを分け、売上を支えている顧客の候補を出す
- 良い顧客に近い見込み客を選び出す
- 主要顧客の離脱の兆しを毎週集計して知らせる
- 提案や連絡の下書きをつくる
AIに任せないのは、次の判断です。
- 分けた顧客の群が何者かを読み取り、良い顧客を定義する
- どの顧客に力を集め、どの顧客から手を引くかを決める
- 定義に違和感がないかを、現場と確かめる
良い顧客の定義がないままAIを配ると、すべての顧客への作業が等しく速くなるだけです。
進め方
- 売上を支えている顧客を確かめる:受注や購買のデータから、売上の8割ほどをつくっている顧客が誰かを見る。
- 良い顧客を言葉で定義する:取引の続き方、単価、手間に見合う売上で線を引き、現場と確かめる。
- 誰に何を売るかを1枚に書く:主要メンバーで目的・目標・課題を書き、狙う顧客と提案を決める(事業戦略実践ワークショップ)。
- 力の集め方を決める:営業の人員配置と指標、提案の中身、販促の予算など、自社に合う手法を選ぶ。
- 一部で試してから広げる:協力してくれるチームで試し、数字が動いたやり方だけを全体に広げる。
期間の目安
3か月で初期成果を出し、6か月で軌道に乗せる
担当

