経営課題から探す
営業の成果が一部の人に頼っている
トップ営業を真似るのではなく、良い顧客と、受注できたときの行動を記録から見つけて、全員の型にする。人が替わっても成果が続く組織にする。
こんな状態の会社に
会社の規模は問いません。次のような悩みに心当たりがあり、変えようとする意志がある会社が対象です。
- 売上の多くを、一部のトップ営業がつくっている
- トップ営業が抜けると、数字が崩れる
- 同行やトークの共有をしても、成果が広がらない
- マネージャーの1日が、部下のフォローで終わる
- 商談の記録が一言だけで、なぜ失注したのか分からない
どれも、成果につながる行動が人の中にだけあって、組織の型になっていない状態です。
トップ営業を真似ても解消しない理由
属人化を解消しようとすると、まず次の3つが思い浮かびます。
- トップ営業に同行させる:本人にも言葉にできない部分が多く、何を真似すればよいか分からない
- トークを資料にまとめて配る:配っただけでは、忙しい時期にすぐ元のやり方に戻る
- AIを全員に配る:使いこなせるのは型を持つ人だけで、差はむしろ開く
3つに共通するのは、誰に何をすれば受注できるのかが、組織として決まっていないことです。
トップ営業は、良い顧客を見分け、その顧客に合った確かめ方をしています。必要なのは、人を真似ることではなく、その中身を記録から取り出すことです。
良い顧客と、受注できる行動を型にする
順番は2つです。
- 良い顧客と良い行動を、記録から見つける:受注した商談としなかった商談を比べ、差がつく顧客の条件と行動を確かめる
- 見せて、練習して、評価する:型を配るだけでなく、責任者がやって見せ、研修を続け、評価にも入れる
型にするのは、やるべきことが全員に漏れなく実行される部分です。顧客との対話そのものは、型にしません。
実際にやったこと
勝ちパターンの掘り起こし:埋もれた成功事例を商談の型にした
私が執行役員として営業改革を任された上場の建設テックSaaS企業では、売り方が人ごとにばらばらでした。中心メンバーに話を聞いて回ると、成功事例と言える売り方は社内に残っていたものの、人が増えるなかで伝わらなくなっていました。
さらに商談に同行すると、営業が伝えていたのは、今ではどこにでもある機能でした。顧客が高く評価していた機能とは、ずれていたのです。
そこで、評価の高い機能をまとめたパッケージの提案と、それを使いこなせそうな顧客の条件を、商談の型にしました。私が商談に入ってやって見せ、毎週の研修を続け、評価にも行動の目標を入れています。担当者による商談の質の差が縮まり、成約率を落とさずに受注単価が上がりました。
私が営業の担当を離れたあとも、引き継いだ責任者のもとで生産性はさらに伸びています。経緯はコラム『営業の属人化を解消する』に書きました。
商談記録の比較:差がつく確認事項を全員の項目にした
グロースドライバーとして支援しているBtoBマーケティング支援企業では、約120件の商談の録音を、受注に至ったものと至らなかったものに分けて比べました。
見たのは、商談の中で何を確かめていたかです。予算、決定の時期、決裁の手続き、利用の規模。この4つのうち2つ以上を押さえた商談は、受注率が高くなっていました。トップ営業の勘を聞き出すのではなく、記録から差を見つけ、経験の浅い営業でも確かめられる項目にしています。
組織の対話:現場の暗黙知を共通言語にした
建設テックSaaS企業では、大きな戦略の転換に向けて、ワールドカフェ形式の研修も行いました。少人数の対話を、メンバーを入れ替えながら繰り返し、現場がうすうす感じていたことを言葉にして、組織のノウハウを平準化しています。マネージャー候補の複数名の発掘にもつながりました。
AIを使う場面と、使わない場面
AIを使うのは、型を見つける作業と、型を決めた後の実行です。
- 受注した商談としなかった商談を比べ、差がつく行動の候補を出す
- その日に連絡すべき顧客を選び出す
- 商談の依頼やお礼のメールを下書きする
- 商談の記録をまとめ、型にある確認事項の抜けを指摘する
AIに任せないのは、次の判断です。
- 良い顧客の条件と、型にする行動を決めて承認する
- 型に当てはまらない場面で判断する
- 顧客との対話そのもの
型がないままAIを配ると、速くなるのは型を持つ人だけです。
進め方
- 記録を残せる状態にする:商談の記録と受注の結果を、後から比べられる形で残す(使われていないSFAなら、記録の目的から決め直す)。
- 良い顧客と良い行動を見つける:受注した商談としなかった商談を比べ、差がつく顧客の条件と確認事項を確かめる。
- 1件目の成功をつくる:協力してくれる担当者と型を試し、受注に近づく条件を確かめる。
- 見せて、練習して、評価する:責任者がやって見せ、研修を続け、行動の目標を評価に入れる。
- 型をAIで回し、更新する:型を毎日の業務でAIが支える形にし、マネージャーは型の見直しに時間を使う。
期間の目安
3か月で初期成果を出し、6か月で軌道に乗せる
担当

