経営課題から探す
戦略を立てても現場が動かない
戦略は施策の一覧ではなく、誰に力を集め、何をやらないかを決めるもの。主要メンバーで1枚に書き、追う行動と評価までつなげば、現場は動く。
こんな状態の会社に
会社の規模は問いません。次のような悩みに心当たりがあり、変えようとする意志がある会社が対象です。
- 戦略を発表しても、現場の動き方が変わらない
- 戦略が施策の一覧になっていて、何を優先するかが分からない
- 部門ごとに追う数字がばらばらで、ぶつかっている
- 評価は売上だけで、戦略どおりに動いても報われない
- 分析の画面や帳票はあるのに、ほとんど見られていない
どれも、戦略が、現場の毎日の行動と評価にまでつながっていない状態です。
戦略が現場で動かない理由
戦略を現場に浸透させようとすると、まず次の3つが思い浮かびます。
- 経営だけで戦略を書く:現場が感じている課題とずれ、自分ごとにならない
- 施策を並べる:やることが増えるだけで、何に力を集め、何をやらないかが決まらない
- 発表して終わる:追う数字と評価が変わらなければ、現場は今までどおり動く
3つに共通するのは、誰に力を集めるかが決まっていないことです。
戦略は施策の一覧ではなく、どの顧客に何を届け、何をやらないかを決めるものです。そこが決まっていないと、現場は目の前の仕事を優先するしかありません。
1枚の戦略を、行動と評価までつなぐ
順番は2つです。
- 主要メンバーで、1枚に書く:目的、目標、課題と成功の条件、誰に何をどう届けるかを、現場の主要メンバーと一緒に書く
- 追う行動と評価につなぐ:戦略から、部門ごとに追う行動の指標を決め、評価にも入れる
戦略の中身で最初に決めるのは、良い顧客が誰かです。そこが決まれば、営業もマーケティングも、同じ顧客に向けて動けます。
実際にやったこと
戦略の書き直し:誰に何を売るかを1枚にそろえた
私が執行役員として営業改革を担った上場の建設テックSaaS企業で、最初にしたのは、事業の主要メンバーと戦略を1枚のフォーマットに書き直すことでした。目的、目標、課題と成功の条件、誰に何をどう売るかをそろえ、パッケージの提案への切り替えと、部門ごとのKPIにつなげています。
新規営業・既存営業・カスタマーサクセスの指標を一本にし、評価も売上だけでなく、決めた行動の達成を見る形に変えました。売上が未達でも、正しい行動をした人が評価される組織にしたことで、現場の動き方が変わりました。経緯はコラム『成長ドライバーとは』に書きました。
現場の言葉にする:うすうす感じていたことを共通言語にした
同じ企業では、大きな戦略の転換に向けて、ワールドカフェ形式の研修も行いました。少人数の対話を、メンバーを入れ替えながら繰り返し、現場がうすうす感じていたことを言葉にしています。
上からの説明ではなく、現場の言葉から組織の共通言語をつくったことが、戦略を進める土台になりました。マネージャー候補の複数名の発掘にもつながっています。
戦略の立て方を、組織に広げた
大手ネット企業のゲーム事業では、各タイトルの戦略を審査する社内会議に向けて、戦略フォーマットと記入例をつくり、戦略の立て方を組織に広げました。分析画面の約9割が月1回以下しか見られていなかった状態から、重要なKPIを定義し直し、帳票も統一しています。
独立後も、複数の支援先で同じフォーマットを使って戦略を立てています。
AIを使う場面と、使わない場面
AIを使うのは、戦略づくりの下支えと、決めた戦略からのずれの見張りです。
- 記入した戦略フォーマットを読み、目的と課題のずれや、成功の条件と施策のつながりの抜けを指摘する
- 現状の分析に使う社内データを、事前に集計しておく
- 決めた行動の指標を、部門ごとに毎週集計して知らせる
- 議論の記録をまとめ、次の期の戦略づくりに残す
AIに任せないのは、次の判断です。
- 良い顧客を定義し、何に力を集め、何をやらないかを決める
- 目標の高さと、追う行動を決める
- 評価の仕組みを変える
戦略を決めるのは人です。AIは、決めた戦略が毎日の行動から外れていないかを見張る役に回します。
進め方
- 主要メンバーで目的をそろえる:背景と目的を言葉にし、現場の主要メンバー全員で合わせる。
- 1枚の戦略を書く:目標、課題と成功の条件、誰に何をどう届けるかを、事業戦略実践ワークショップで書く。
- 現場の言葉にする:ワールドカフェ形式の対話などで、現場が感じていることを戦略の言葉とつなぐ。
- 行動の指標と評価につなぐ:部門ごとに追う行動を決め、評価にも入れる。
- 実行しながら書き直す:振り返りの場を決め、結果を見てフォーマットを書き直す。
期間の目安
3か月で初期成果を出し、6か月で軌道に乗せる
担当

